顔のたるみ改善
たるみ改善に役立つボトックス注射ってどんなもの?
ボトックス注射は「ボツリヌストキシン製剤」(ボトックス)と呼ばれる、ボツリヌス菌から作られた液体を皮膚に注射し、しわやたるみを改善する施術法です。
ボツリヌス菌は食中毒を引き起こすので危険だと思われがちですが、注射として使用するのは菌そのものでなく、その成分を安全性に十分配慮して薄めて作った製剤なので心配はありません。
ただし、経験の浅い医師が施術すると、打つべき部位や適切な量を誤る可能性もあるので、クリニック選びは慎重に行いましょう。
ボトックス注射を打つと、具体的にどのように作用する?
筋肉にボトックス注射を打つと、神経伝達物質である「アセチルコリン」の放出が抑制され、筋肉の収縮が起きにくくなって筋弛緩作用をもたらします。そのため、筋肉の収縮によって皮膚が下へ引っ張られることがなくなり、たるみを改善することができるのです。
顔全体のたるみが気になる時は「広頚筋(こうけいきん)」と呼ばれる首の筋肉に打つケースが多いですが、他にもエラの部分に打って小顔効果を狙ったり、目の下に打ってしわやたるみを改善したりするなど、いろいろな使い方ができます。
ボトックス注射がもたらす、たるみ改善以外の効果
- ・額に注射し、しわを目立たなくする
- ・鼻に注射し、鼻の上のしわを目立たなくする
- ・口元に注射し、口角にできるしわを目立たなくする
- ・汗腺に注射し、汗の量を調節してワキガを治療する
ボトックス注射の痛みは?
ボトックス注射を打つ際は、多くの場合は麻酔無しで施術します。が、希望に応じてクリーム麻酔もしてもらえるので、注射針を刺す時の痛みはかなり軽減することができます。
しかし、筋肉内に薬液が入っていく際の痛みは多少残る場合があります。中には極端に痛みに弱い方もいるので、その場合は笑気麻酔(医療用酸素と亜酸化窒素を鼻から吸い込むもの)をすることも。
不安な方は、事前にカウンセリングでよく相談しておきましょう。ちなみに、注射を打つのにかかる時間は、麻酔が効いてくるのを待つ間の時間も入れて20分ほどです。
ボトックス注射の治療の流れ
- 1.カウンセリング
メイクを落とし、なりたい顔のイメージを確認しながら、注射する部位や量を決めていきます。不安なことや疑問点があれば、遠慮せず医師に確認しておきましょう。
- 2.麻酔
ボトックス注射では使わないこともしばしばあります。が、痛みを感じやすい患者の場合は麻酔をします。効いてくるまで10~15分かかるので、この時間も考慮して治療を受けましょう。
- 3.薬剤の注入
注射をする部位を慎重に決め、適切な量を注入します。
- 4.アイシング
注射を打った部分を保冷剤などで冷やし、腫れを抑えます。
- 5.状態を確認して帰宅
医師が確認し、異常がなければそのまま帰宅できます。すぐにメイクをすることができるので、多少の内出血があっても心配はいりません。
※アフターケアがしっかりしているクリニックを選び、気になることがあれば早めに相談しましょう。
ボトックス注射のたるみへの効果はどれぐらい続く?
注射を打つ部位や個人の体質によっても変わりますが、ボトックス注射のたるみへの効果は3~6ヶ月ほど続きます。
筋肉は動かさずにいるとだんだん弱くなり、やがてその状態が定着するので、ボトックス注射は回数を重ねれば重ねるほど効果が長続きするようになるのが特徴。肌のハリを長く保ちたい時は、ボトックス注射の効果が切れるタイミングに合わせて次の注射を打つと良いでしょう。
ボトックス注射の料金相場は?
ボトックス注射はメスを使う手術ではないので、ダウンタイムもほとんどありません。人によっては内出血をすることもありますが、施術当日からメイクができるし、シャワーもOKなので、ダウンタイムを気にしてクリニックでの治療をあきらめていたような人も安心して受けられます。
ただ、ボトックス注射は失敗例がゼロではない施術なので「ただ注射でたるみを取るだけだから」と軽く考えるのは危険です。
主な失敗例についてご紹介しますので、こうした悲劇を防ぐためにも信頼のできる医師を選ぶようにしてください。
ボトックス注射のたるみ取りで考えられる副作用や失敗例は?
♦失敗例その1:使用量を間違えた
ボトックス注射を打つことにより、稀に無表情になってしまう人がいます。これは経験の浅い医師が注入量を間違えたためであり、過剰な投与によって筋肉が動かせず、能面のように固まってしまった状態です。
表情がぎこちなくなる程度ならまだ良いのですが、目のたるみを取ろうとして注入量を間違えると、目を閉じにくくなってしまうこともあるので注意が必要。幸い、ボトックス注射はいずれ効果が切れるので一生このままということはまずありませんが、何ヶ月も苦しむことになるので失敗は絶対に避けたいですね。
♦失敗例その2:ボトックス注射の薬剤が適切に保管されていなかった
医師の腕や薬剤の質に問題があるという以前に、ボツリヌス製剤の保管方法が間違っていたために、薬剤の効果がなくなってしまうというケースもあります。
ボツリヌス毒素製剤は冷凍保存をして温度を適正に保つ必要があるのですが、クリニック側がこれを怠って常温で放置してしまったり、なんらかのミスで冷凍保存ができなかったりして、品質を劣化させてしまうのです。
良心的なクリニックであれば、失敗に気づいた時点でその薬剤は破棄されますが、中には見た目では劣化しているかどうかが分からないのを悪用して、そのまま使ってしまうところもあるかもしれません。
何度かボトックス注射を受けているのに一向にたるみが改善されないという場合は、薬剤の管理方法も疑ってみましょう。
♦失敗例その3:小顔効果を狙ったら顔がたるんでしまった
ボトックス注射をエラの部分に打つと、筋肉が細くなって顔が一回り小さくなります。
それは良いのですが、それまで筋肉によって支えられていた皮膚が余ってしまうので、それが逆にたるみにつながることがあるのです。それほど目立つわけではないし、ボトックス注射の効果が切れれば元に戻りますが、こうなる可能性もあるということを覚えておきましょう。
ボトックス注射を受けられない人とは?
次のような方は、ボトックス注射は受けられません。ご注意ください。
- 妊娠中の人、妊娠している可能性のある人、授乳中の人
- ボツリヌス菌アレルギーの人
- ボツリヌス菌による食中毒の既往歴がある人
- 神経筋接合部に障害がある人(ALS、重症筋無力症など)
- 呼吸器に障害のある人
- 心臓や血管に持病のある人
- 65歳以上の人、18歳以下の人
- あざが出やすい薬を服用している人(アスピリン、イブプロフェンなど)
- 膠原病や自己免疫疾患の人