多汗症の治療
ボトックス注射で多汗症を治療できる
体温の上昇に関係なく、大量の汗をかいてしまうのが多汗症の代表的な症状です。ボトックス注射で多汗症を改善できる理由を調べてみました。
汗で悩む人でボトックスが絶対におすすめな人
- 緊張したり不安な気持ちになると汗がでる
- 気がつくとワキに汗染みができている
- 顔の汗を止める方法を探している
- 手の汗を止める方法を探している
- 背中の汗を止める方法を探している
- たいして動いていないのに大量の汗をかいている
- 汗を抑えたいがメスは入れたくない
以前、GSK(グラクソ・スミスクライン)が実施したメディアセミナーでは、ワキ下の多汗症に悩む患者数は推定720万人いると発表されました(2012年12月)。そして、多汗症という病気自体の認知度が少ないことから、治療に至る人は全体の10%にも満たないとしています。
程度に差はあれど、多汗症は生活に支障をきたすレベルの汗をかきます。同メディアセミナーでは、多摩南部地域病院皮膚科の藤本智子医長がボトックスでの治療について語っていてます。「ボトックスは過剰な発汗を抑制できる。汗を抑える効果は通常、投与後2~3日で現れ、4~9カ月にわたって持続する。」ということでした。
美容クリニックで気軽にボトックス治療を受けられますので、多汗症に悩む人はボトックスによる改善を検討しましょう。
ボトックスが多汗症を改善する仕組み
ボトックス注射に含まれるボツリヌストキシンという成分が、汗をつくり出すエクリン汗腺の働きを弱めます。この効果で、多汗症を改善するというのがボトックス治療。ワキであれば数か所に注射をうつだけですので、15分ほどの時間で完了します。
効果が出るまでの時間と持続期間
ボトックス注射をうけてから、2日~1週間で効果が出はじめます。人によっては直後に効果を実感することも。
治療効果の持続期間は半年から1年間とされています。そのため「夏だけ汗を抑えたい」「冬の汗染みだけは許せない」といった、気になる季節へピンポイントで対応することが可能です。
多汗症ボトックスの料金相場
注射をうつ部位によって料金は変わってきます。ワキだと100,000~150,000円、手のひらは100,000円前後、背中は250,000~350,000円、足の裏は200,000円といったところです。
参考になるよう、代表的な美容クリニックでワキのボトックス注射の料金を載せておきます。
- Aクリニック:150,000円
- Bクリニック:162,000円
- Cクリニック:130,000円
- Dクリニック:108,000円
料金に差があるのは、使っているボトックス注射の薬剤に違いがあるからです。おすすめは世界No.1のシェアをもつ「ボトックスビスタ」。厚生労働省によって安全性が認められており、効果の持続期間も長いといわれています。
治療できる部位は多い
汗をかいて気になる部分といえばワキですが、ボトックス注射による多汗症治療は、次のような部位でも可能です。
- ワキ
- おでこ
- 手
- 足
- うなじ
- 背中
クリニックによって注入部位の可否が変わります。止まらない汗の場所を自分で分かっている人は、まず問い合わせしてみることをオススメします。ちなみに、ワキ以外の部位の多汗症を改善できるのはボトックス注射だけといわれています。
ボトックス注射の副作用は?
多汗症の治療におけるボトックス注射で、副作用が起きることは非常に稀です。
治療が注射器による注入ですから、注射の痛みとか内出血といったものくらい。クリニックの公式サイトを見ても、副作用のリスクは極めて少ないとしているところがほとんどです。
「薬剤で発汗をおさえてしまって大丈夫なのか」という心配をする人もいますが、大きく問題はありません。例として、ワキの汗腺は全身の汗腺のうち、わずか2%でしかないです。ワキから汗が出なくても、残り98%の汗腺から汗が出ます。
ダウンタイムについて
ボトックス注射はダウンタイムの少ない施術で有名です。治療をしたその日にシャワーOKですし、ほとんど腫れません。施術時間はわずか5分です。
ボトックスで多汗症とサヨナラした人からの口コミ
打ってもらっている時は痛みがありましたが、終わると痛みは全々無く、汗もピタッと止まって、今まで着られなかった服が着られて本当に受けてみて良かったです!! 効果がどの位続くのか気になりますが、また来たいと思いました。(引用:湘南美容外科 http://www.s-b-c.net/review/n025914.html)
多汗症でワキにボトックスを打ってもらいました。最初から最後まですごく丁寧かつ、プライベートにも配慮された仕組みで、安心して施術を受けることが出来ました。ボトックスの有効期間もしっかりと教えていただけて、今は汗が本当に減ってとても快適な日々を送ることが出来てます。定期的に行かせていただきたいと思っています!ありがとうございました(引用:湘南美容外科 http://www.s-b-c.net/review/n71102.html)
わきがと緊張による年中の多汗症にずっと悩んでいました。 子どもを抱っこしたり距離が近かったりする仕事のため、臭いが気になっていました。私の場合は効きが早かったのか、翌日には少し汗の量が減り、3日後にはもう汗をかかなくなっていました。 施術から1ヶ月が経ちますが、通勤や緊張したときなども、全く汗をかきません。 時間が経つと多少臭いだけはしますが、シートでさっと拭けばなくなる程度です。 抗体が出来て効果が薄れる可能性もあるということでその点は心配ですが、それまで継続して施術を受け、快適に過ごしたいです。(引用:湘南美容外科 http://www.s-b-c.net/review/n61363.html)
多汗症とは?
通常、汗は体温が上がって体内の熱を発散させる必要がある時に出てきますが、多汗症の場合は体温上昇に関係なく多量の汗をかいてしまいます。原因ははっきりと分かっていませんが、精神的な問題が大きいのではないかと言われており、緊張やストレスを感じて交感神経が高ぶった時に過剰な汗をかく人が多いようです。
その他には、ホルモンバランスの乱れや、糖尿病、結核、甲状腺機能亢進症などの病気が引き金になっていることも。
生活習慣の乱れがあったり、極端に肥満していたりする人も多汗症になる可能性があります。
多汗症の人の汗が臭う理由
汗の出口である汗腺には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という2つの種類があります。エクリン汗腺から出る汗はサラッとしていて臭いもほとんどなく、アポクリン汗腺から出る汗はベトベトしていて臭いやすいという特徴があります。
多汗症の場合はエクリン汗腺から多量の汗が出るので、それだけならたいして臭わないはずなのですが、ここにアポクリン汗腺から出た汗や皮脂が混ざって雑菌が繁殖すると、独特のワキガ臭が出てしまうのです。
そのため、多汗症による嫌な臭いを軽減させるには、アポクリン汗腺に働きかける必要があるということになります。
多汗症の治療になぜボトックス注射がいいの?
ボトックス注射には、発汗を促す作用を持つ「アセチルコリン」と呼ばれる伝達物質の働きを抑制する力があります。
この力によって“汗を防ぐ”ということになります。注射で施術できる部位は脇・手・足・うなじ・額。早い人では翌日から効果を実感できることもありますが、通常は3日~1週間ほどでじわじわと効いてくるケースが多いです。
効果の持続期間は3~6ヶ月ほどなので「暑い時期の汗を抑えたい」という場合は逆算して春頃に受けておくと良いでしょう。治療にかかる時間は、麻酔が効くまでの待ち時間を含めて20分程度です。
ボトックス注射は体に悪くないの?
ボトックス注射に使われる「ボツリヌス毒素製剤」は、食中毒の原因となるボツリヌス菌から作られています。
しかし、施術で使用するのは菌そのものでなく、その成分を安全性に十分配慮して薄めて作った製剤なので、施術によって中毒症状を起こすことはありません(ただし、ボツリヌス菌にアレルギーのある場合は除きます)。
ボトックス注射によって人工的に汗を止めてしまうことに不安を感じる人もいますが、汗腺は体のあちこちに存在し、多汗症を引き起こす部位の汗を局所的に止めても他の部分から汗を出すことができることから、全体として問題はありません。
特に、精神的な理由で多汗症になっていた人には効果あり
緊張しやすい、不安感が強いといったタイプの人は、まず「人前でたくさん汗をかいてしまったらどうしよう」と心配になり、そして実際にその通りになってしまうと「やっぱりダメだ」と落ち込んで、余計に意識が汗に集中するようになります。こうなると、もう悪循環の繰り返し。外出のたびにドキドキと緊張して、ますます汗が出やすくなってしまうのです。
このようなタイプの人がボトックス注射を受けると「治療を受けた」という安心感に加え、実際に汗の量が少なくなることを実感できるので、非常に大きな治療効果が期待できます。中には、不必要に汗をかかなくなったことで自分に自信がつき、自然と多汗症が治ってしまう人もいるので、悩んでいる人は一度クリニックで相談してみると良いでしょう。
ボトックス注射による多汗症治療は痛くない?
ボトックス注射による多汗症の治療では、以前は80,000~100,000円ぐらいの費用がかかるのが普通でした。
しかし、2012年11月に「重度の原発性腋窩多汗症(げんぱつせいえきかたかんしょう)」と診断された患者に対しては、保険が適用になるという法律が制定され、30,000円ぐらいの負担で治療が受けられるようになりました。
自由診療のみのクリニックでも、現在では1回あたりの料金を50,000~100,000円ぐらいに設定しているところが多いです。
保険適応が認められるのは、あくまでも「病気を治療する必要あり」と判断された場合だけなので、単に脇に汗をかきやすいというだけでは認められません。自分では判断し難いところではありますので、クリニックで相談してみましょう。
重度の原発性腋窩多汗症の判定基準
原因不明の過剰な発汗が6ヶ月以上続いており、なおかつ次の項目のうち2項目以上を満たすこと。
- 両側性かつ左右対称性に多汗がみられる
- 多汗によって日常生活に支障が生じている
- 週1回以上の頻度で多汗エピソードがみられる
- 25歳未満で発症した
- 家族歴がある
- 睡眠時は局所性の発汗がみられない
以下の項目の3または4の状態であること。
- 1.発汗は全く気にならず、日常生活に支障がない
- 2.発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
- 3.発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
- 4.発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある
その他に、発汗量を測定するための検査として「定性的測定法(ヨード紙にヨード液を加え、密封して1週間保存した後、その変化を調べる方法)」や「重量計測法(あらかじめ重量を計測しておいたろ紙を装着した手袋をはめ、5分後に重量がどのぐらい増えたかを調べる方法)」などを行うこともあります。
保険診療の場合は麻酔が使えないって本当?
ボトックス注射による多汗症の治療を保険で行う場合は、残念ながら麻酔は使えません。麻酔だけ自費で払えばいいかというとそうでもなく、自費と保険の混合診療になってしまうので認められないのです。
そのため、痛みに弱い人にとっては辛い治療になるかもしれません。こうしたデメリットもよく考えた上で、治療の受け方を決めましょう。
ボトックス注射と組み合わせることで多汗症改善の効果を上げる
臭いの原因となるアポクリン汗腺は毛穴の部分に存在しているので、レーザー脱毛で破壊することで症状を和らげることができます。同時にムダ毛もなくなるので細菌が繁殖しにくくなり、見た目も美しくすることができて一石二鳥。
ボトックス注射によって汗の量を調節しているので、ムダ毛がなくなったことで汗が流れやすくなるという心配もいりません。