治療が有効とされる部位
ボトックス注射と目元のしわ
年齢とともに垂れさがってきた目尻を引き締めたいという人にも、ボトックス注射が有効です。ボトックス注射を施す部位の中でも、目元は特に人気を集めています。目は人の印象を大きく左右する部位ですから、少しでも若く見られたいという人はボトックス注射で目元のしわを改善することが少なくありません。目尻の下部にボトックス注射を打つことで半年近く目元を若々しく保つことができます。施術時間は麻酔に30分ほど、ボトックス注射そのものは5分程度で済みますから、かなりお手軽であることも魅力です。
口元をリフトアップ
口元の筋肉が垂れ下がってくると、実年齢以上に老けて見られてしまうことがあります。口元の動きに大きく関係するのが目元から口のラインにある口角挙筋(こうかくきょきん)と、口周辺の筋肉である口角下制筋(こうかくかせいきん)です。ボトックス注射を口角下制筋に打つことで口元全体がリフトアップされます。これは、表情筋の一部である口角下制筋が日頃の表情の動きのなかで収縮するクセがついてしまっており、そのクセがボトックス注射の効果で緩和されて、口元が若々しく見えるようになるという仕組みです。
額のしわを消す
鏡をふと見てみるとおでこに深いしわが刻まれているという人はいませんか?額のしわは何度も顔をしかめるうちに表情筋がクセとしてその動きを覚えてしまうことが大きな原因です。意外なことながら、若い方の場合には表情筋がしわを記憶してしまっているケースが多く見られます。そんな額のしわに有効なのがボトックス注射です。ボトックス(=ボツリヌストキシン製剤)を注入することで表情筋の働きが弱められ、額に刻まれた深いしわが緩和されます。ただし、上瞼のたるみが原因で額にしわが生まれている人はご注意ください。これは表情筋ではなく上瞼のたるみによって発生した額のしわであり、ボトックス注射は効かないからです。自分の額のしわの原因がよくわからないという人は、ボトックス注射を打つ前のカウンセリングにおいて医師と十分相談したうえで施術を受けましょう。
小顔に見せるためのボトックス注射
自分の顔を鏡で確認したとき、エラが大きく張っているのを気にする人もいると思います。皆さんはエラがなぜ張ってしまうのかを考えたことはあるでしょうか?顔の骨格が原因と思っている人が多いようですが、実は咬筋(こうきん)と呼ばれる筋肉が発達してエラにしまっているケースも少なくないのです。こういった場合のエラの張りを改善するにはボトックス注射を打つというのも有効な手段です。ボトックス注射は筋肉の働きを抑える働きがあり、エラを生み出す咬筋にも有効です。発達しすぎた咬筋の働きを抑制して小顔を目指したいという人はクリニックでボトックス注射を試してみる価値が大いにあります。
ボトックス注射で手汗を改善
ボトックスといえばしわの改善を目的として顔に打つ注射と思われがちですが、実はそれ以外の症状の改善にも効果を発揮します。その一例としてご紹介したいのが「手汗」です。手汗は人が緊張する場面などでよく現れる症状ですが、これは交感神経が高ぶったときに、身体が条件反射で生み出してしまう汗として知られています。ボトックス注射は手汗を流すように脳から手に向かって指示を出すアセチルコリンという神経伝達物質の働きを抑制します。この効果のおかげでボトックス注射を打ってから半年ほどの間は手汗に悩まなくて済むようになります。
ボトックス注射のワキ汗改善効果
季節に関係なく「ワキ汗」に悩まされているという人にもボトックス注射は効果があります。ボトックス注射をワキに打つことで、ワキ汗を発生させにくくする施術が人気を集めています。注射を打つだけでワキ汗が止まるのかと疑問に思う方もいることでしょう。ボトックス注射は汗を出すように脳から汗腺に指示を出すアセチルコリンという神経伝達物質の働きを抑えます。ワキ汗の多くは身体が緊張したときに発生するものなので、神経伝達物質の働きを弱めることはとても合理的です。日常生活に支障が出るほどのワキ汗をかいてしまうという人には、2012年からワキ汗のボトックス治療に対して保険が適用されるようにもなりました。ワキ汗を改善したいという人は、ボトックス注射の施術を行っているクリニックで相談してみることをおすすめします。
ボトックスで顎のしわを取り除く
顔にはいくつもの表情筋が重なっています。笑顔や悲しみを帯びた顔など、様々な表情を繰り返す際に表情筋は収縮します。この収縮が何度も繰り返されると、筋肉にクセがつき、それがしわとして顔に残るようになります。しわの中でも顎に現れたものは、スキンケアクリームなどでもなかなかごまかしの効かないものですよね。
そこで注目していただきたいのがボトックス注射です。ボツリヌストキシンが凝り固まった表情筋を解してくれるため、注射を打ってから数日でしわを解消してくれます。顎のしわでお悩みの方はボトックス注射も解決方法の1つであることを覚えておきましょう。
ほうれい線の改善にもボトックス注射が効く場合とは
口元の中でも見た目の年齢に大きく関係するのがほうれい線です。ほうれい線が生まれる原因には様々なものがあり、肌そのものの弾力が落ちたことや顔の皮下脂肪が衰えもしくは肥大、あるいは表情筋が衰えてしまったことなど、人によって種々雑多です。ボトックス注射はボツリヌストキシンという物質を肌に注入することで表情筋を弛緩させてしわを緩和するという仕組みで私たちの肌を若々しく保つものですが、この効果が有効なほうれい線は「表情筋の折りクセによって生じたほうれい線」に限られます。表情筋以外の原因でほうれい線が生まれていた場合にはあまり効果が見られないということになります。
複合的な原因で生まれるほうれい線についてはボトックス注射以外の、たとえばヒアルロン酸注入などの方法で対処することも少なくありません。もしボトックス注射でほうれい線を消したいという人は、医師と相談したうえで自分のほうれい線がどのような原因で発生したのかを見極めてから施術に移りましょう。
ボトックス注射の部位と効果
ボトックス注射は表情筋が原因のしわやふくらはぎのスリム化、ワキ汗の改善など様々な部位に有効です。ただし、部位によって効果が現れる時期や効果が持続する期間が異なる点に注意しましょう。ボトックス注射が持つ元々の働きは、神経伝達物質に作用して筋肉の働きを衰えさせることです。しわの改善などはこの作用が働くだけですぐさま効果が現れます。日数でいうと約2~3日程度です。一方、ワキ汗の改善やふくらはぎをスリム化するには神経伝達物質の働きが抑制されてから数日経たないと効果が現れません。そのため、ボトックス注射を打ってから1週間ほど効果が実感できなくても焦る必要はないのです。ボトックス注射の働きを理解したうえで施術に臨むようにしましょう。